包装・物流用語集
「受圧面積」
読み方:じゅあつめんせき
緩衝包装設計に詳しい方々にとってはごくごく当たり前の内容ですが、包装豆知識では幅広い層の皆さまに気軽にお読み頂けるよう、こうした「基本のキ」からアーカイブしてゆきたいと思います。
お客さまとの打ち合わせの中で、意外と頻繁に直面するのが「しっかり緩衝材を使って広い面積で支えた方が、ワーク(製品)が壊れにくい」という誤解です。段ボール梱包などを多く用いられ、発泡体などの本格的な「緩衝材」をあまり利用したことのないお客様の中に、こうした理解が多いように思われます。
上の写真では、グレーの発泡体を製品に見立てていますが、この重量を直接的に受け止める部分(オレンジの枠で囲んだ範囲)を、緩衝設計の世界では「受圧面」といい、その広さを「受圧面積」と呼びます。一見すると、緩衝材をたくさん使い、この面積が広い方が、製品をしっかり支え、壊れにくいようにも思えます。
ここで思い浮かべて頂きたいのが、始めて水泳の飛び込みを習った時のこと。慣れないうちはお腹や胸を水面に「ビッターン」と打ち付けてしまい、真っ赤に腫れてしまいますが、頭からするりと沈みこめた時は、全く痛みを感じなかったですよね? これがまさに衝撃と面積の問題なのです。
大きな面積(お腹や胸)で水面と激突すると、身体は水に沈み込むことができず、ものすごい衝撃を受けてしまいます。ところが、小さな面積(頭)から一直線に水面に落下すれば、身体は水に吸い込まれるように沈みこみ、衝撃もほとんど感じません。
緩衝設計も基本的には同様の考え方をします。ポイントは、「製品が緩衝材に適度に沈み込める」ということ。受圧面積が広すぎては、製品が沈み込むことができず、衝撃がじかに加わってしまうし、逆に狭すぎると、製品が沈み込みすぎて、外装箱に激突してしまいます。その為には、製品と緩衝材が触れ合う面積を適切な広さに調整してやる必要があるのです。