包装のコトども
2018.11.29
ボリウッドと禅と適正包装
突然ですが、
「今、インドで最も人気のある日本のブランドは?」
こう訊かれて、日本人の正答率はどのくらいのものだろうか…と、
私、大変興味をそそられております。
というのも、ボリウッド映画に代表されるような、
あの派手好き、過剰なもの好きの国インドで、
なんと『無印良品』が大変な人気だというのです。
そもそも無印良品といえば、
その日本的感性が高く評価される原研哉氏をデザイナーに迎え、
無駄なものを一切省く「和のシンプルさ」を追求するブランドです。
対するインドはどちらかというと華美で装飾的なものを好む国、
というイメージがありますよね。
その国が今や、シンプルさの日本的アイコンともいえる、
『無印良品』を評価しているなんて!
日本的な簡素さや禅の思想は、
あのiPhoneのデザインにも多大な影響を与えたといわれますが、
やはりその普遍的な魅力が、
さまざまな価値観の人々を引き寄せるのかもしれません。
分野はまったく異なりますが、一切の無駄を省く、ということでいえば、
われわれの世界にも『適正包装』という考え方があります。
緩衝用の包装はそれ自体が価値を生み出すものではなく、
製品を保護するためのものであり、
そこにかける費用は必要最小限がよい、という発想ですね。
経済学的にいえば、『合理化』や『最適化』ということになるでしょうか。
こういうと、ややもすれば冷たく味気ない仕事のように思えますが、
お客様の事情や使い勝手を深く考え抜いた製品は、
それがブランド品であれ、緩衝材であれ、
『無駄なものをそぎ落とした、その先の温かさ』が生まれるような気がします。
余分なものは何もない、
けれど足りないものもまた、何もない。
それを使う人のために、すべてが深く考え抜かれた製品。
私たちはこれからも、そんな製品をお届けすることを目指し、
日本的モノづくりの素晴らしさを、
一つひとつの仕事に活かしてゆきます。