包装のコトども
2019.02.04
AIと、『眼』と、カンブリア紀。
「AIは今、カンブリア紀だ」
メディアへの露出も数多い東大特任准教授、松尾 豊氏は語ります。
「地球史からすればごくごく短い期間のカンブリア紀に、
今の生物種はそのほとんどすべてが出揃った。
生物が『眼』を持ちはじめたためだ。
これと同じことが今のAIに、起きている」
古生物学の世界では、それまで原始的な器官で外界を認識していた生物が、
始めて高度な外界センサーである『眼』を獲得したのが、
このカンブリア紀だと言われています。
これにより、外界や食物、天敵などを認識する能力が飛躍的に高まり、
生存戦略が複雑・多様化したために、
膨大な生物種がまたたく間に誕生した、というのです。
そう、進歩したAIがとりわけ得意とするのも、
圧倒的な情報量を持つ、「画像」の認識と分析です。
状況や対象物を認識する精度、そして学習能力が飛躍的に高まったAIは、
短期間のうちに爆発的に普及するだろう、
と松尾氏は予測しているのです。
おっと…
それでは、世界はAIと巨大IT企業に席巻され、
日本と日本のモノ作りは消え去ってしまうのだろうか…
ややもすれば、そんな悲観に襲われそうですが…
「その逆だ」と松尾氏は続けます。
「今回のイノベーションはまさに『日本向き』だ」と。
そう、認識技術の高度化でもたらされるのは、
高度な『眼』と学習能力を持った
『インテリジェントな機械』の爆発的な増加であり、
『ソフト優先』かつ『シリコンバレー向き』だった,
あのいわゆるインターネット革命と比べ、
『ハード』が主導権を握る時代が訪れるというのです。
IT企業が自動車市場を席巻するとの見方も一部にありますが、
イノベーション支援コンサルティングを手掛けるアスタミューゼ社長、
永井歩氏もまた、ある経済コラムでこう語っています。
「事故が一つでも起きれば信用を失うシビアな産業では、
(新参のIT企業などへの)簡単なゲームチェンジは起きない。
AIやIoTへの投資は、こうしたシビアでリアルな分野に集中すべきだ」
もちろん私は、激しく同意してしまった次第であります。
賢く自律的な車やロボットが活躍する今回の『AI革命』。
もしかしたら、日本と日本のモノ作りには過去に例のない好機、
そんなふうに捉えることもできるのではないでしょうか。
おっと、何だか、元気が出てきました!