包装のコトども
2019.05.23
アカボウクジラからの静かなサイン
「胃の中に40kg分のプラスチック」
なんともショッキングなフレーズです。
フィリピン南部に打ち上げられた鯨の死体から、
ビニールの買い物袋などからなる
40kgの巨大なプラスチック塊が見つかったというのです。
私自身も発泡体の製造現場で、
ロスとなる原料を日常的に手に取るもので、
40kgの樹脂塊というものがいかに巨大なものか、
思わずイメージを膨らませてしまいました。
ここ数年、環境関連のニュースで毎週のように見かける
「海洋(マイクロ)プラスチック」問題。
恥ずかしながら、これだけ幾度も耳にしていても、
事の深刻さにどうも実感が湧かずにいたのも事実。
しかし今回、この鯨のニュースをきっかけに少し調べてみました。
そしてびっくり…
「8,000,000t
(ジャンボジェット機50,000機分)」
ある試算によればこれが、
1年間に海洋流入するプラスチック量、だそうです。
…なにやら規模が大きすぎて、うまく想像できません…
これらの大部分は、アジア・アフリカ諸国からのものということですが、
先進国からも廃プラを大量に輸出していることを考えると、
我々日本人も当事者として自覚せざるを得ません。
それならば廃プラをきちんとリサイクルに回そう、
と考えがちですが、今日のリサイクルシステムのキャパシティーは、
生産されるプラスチック総量のわずか9%に過ぎないのです。
また、言うまでもないことですが、廃プラのリサイクルとは、
品質の低い新たなプラスチックを産むことを意味します。
ある研究者は、こうも指摘しています。
「プラスチックのリサイクルは、
その最終的な廃棄を遅らせるだけだ」
一方、埋め立て処理が基本とされる欧米諸国では現在、
生分解性(自然に分解される)プラスチックの導入が加速しつつあります。
これは太陽光や熱、土中の細菌の力を借りて分解するものなのですが、
日本にはごみの分解を促進するコンポストなどが未整備、かつ、
ごみの焼却処分を基本とする為、ハードルが高いのが事実。
また、海洋に流入した場合の分解性能は未知数という現状です。
うーん、やはりこれはなかなか一筋縄ではいかない難問です。
弊社もまた、発泡材料としてプラスチックを扱う以上、
今後も責任を持って、この世界的な難問を注視してゆきたいと考えています。