包装のコトども
2021.01.28
「電気ショック」とEV業界裏事情
弊社タイ法人の主力顧客が自動車関係であることもあって、
自動車関連のニュースはよく目を通すのですが、
先日、経済紙のあるコラムに、こんな見出しを見つけました。
『車業界に「電気ショック」』
時代に逆行するかのような排ガス規制緩和や、
環境規制に対抗する訴訟に明け暮れたトランプ政権。
その喧噪がにわかに遠ざかり、
市場は今、静かな激震に晒されているようです。
最大の自動車市場である中国のガソリン車禁止目標発表や、
もはやバブル的とも懸念されるテスラ社株の急騰など、
「EV(電気自動車)シフト」の話題はもちろん今に始まったことではありません。
しかしつい先日、バイデン氏のパリ協定復帰宣言に続き、
「マッチョでヘビーな車の代名詞」であったあのGM社までもが、
電気プラグを模したデザインにロゴを刷新して、
本格的なEVシフトを高らかに宣言。
なんと今後5年間に、世界で30車種に及ぶEVを発売するとぶち上げました。
これはたしかにいよいよ「ショック」と呼ぶにふさわしい事態かもしれません。
テスラやGM、欧州、中国の動きに比べ、
「出遅れた」とも言われるわが国のEV戦略。
電気とガソリンを併用するハイブリッド車(HV)の分野では、
「プリウス」などの名車種を世界に先駆けて投入してきましたが、
国内自動車販売台数におけるEVのシェアはわずかであり、
ドイツ車勢やルノーの新型EVが好調な欧州などでのEV普及状況と比べると、
大きく水をあけられた印象を受けるのは事実。
昨年10月27日の日経新聞でも、
『日本企業転換迫られる EV・燃料電池車遅れ』
と題する記事が大きく掲載されたのは記憶に新しいところです。
しかし、経済誌だけでなく、自動車専門誌など複数のメディアの情報から、
業界事情を立体的に読み解いてみると、
じつは環境対応車で本当に有利なのは日本勢(特にトヨタ)らしい、
という隠れ事情が見えてきます。
どういうことかと言いますと…
① まず大前提として、EVは高い
(Cセグメントのガソリン車に比べて3~4割のコスト高)
② 中国や欧州でのEV車販売好調は超高額な補助金に依存している
(たとえばドイツでは1ユーロ=125円換算で112万円もの補助金!)
③ 高額な補助金制度はいつまでも持続できず、
いずれEV販売が伸び悩むのは確実。
(現に中国では補助金を半減した2019年以降、EV販売が急減し、
逆にコストパフォーマンスに優れたHVが見直されはじめている)
④ 肝心のCO2排出量削減目標をおおむねクリアできるのは、
HV車で圧倒的な技術力を持ち、世界販売シェアで90%を握るトヨタのみ
(VWでさえ数十億ユーロもの罰金を支払うことになると予測されている)
⑤ EVは万能ではなく、LCA(ライフサイクルアセスメント)的な評価が浸透し、
今後は「発電時」や「モーター製造時」に排出されるCO2もカウントされる予定
(発電方法も含めて見直さなければ、CO2削減効果が小さく評価されてしまう)
うーん…
やはりこうした産業関連のニュースは、
経済紙だけでなく、業界専門紙などから立体的に情報を取らないと、
その実態がつかみにくいようですね。
EVで出遅れたと囁かれるトヨタは、じつはHV車での好調な販売と利益を確保しつつ、
世界三大電池メーカー(パナソニック、BYD、CATL)との協業も着々と進めるなど、
EVシフトへのソフトランディングをすでに織り込み済みだ、とも言われます。
日本人としてはやっぱり「頑張れ!世界のトヨタ!」と、
応援したくなってしまいますよね。
さて弊社(日本法人)は、いわゆる弱電(精密機器)メーカー様がメイン顧客ですが、
自動車部品類の拠点間輸送用通い箱なども得意としております。
特にタイ法人(アマタナコーン工業団地内)においては、
日系自動車部品メーカー様とのお取引が主要なシェアを占めています。
今、この前代未聞のコロナ禍において、まさに「V字回復」とも言われる、
自動車メーカー様各社の劇的な生産回復は、我々のような中小企業を含め、
すべての産業分野に勇気と希望を与えてくれています。
私たちもまっすぐ前を向き、2021年も「アクセル全開」で、
皆様のビジネスのお手伝いをさせて頂く所存でございます!