包装のコトども

2021.03.16

テレイグジスタンス ~コロナとアバターが拓く未来~

おかげさまで弊社は、ホームページをご覧頂いた皆さまから、
新規案件のお問い合わせを大変多く頂いているのですが、
ここの所、とくに目立つのが、
いわゆる「アバターロボット」というカテゴリ。
人が遠隔操作を行うことにより、
自分の化身(アバタール)として業務を遂行するというものですが、
直近で数えるだけでも4~5件のご相談を頂いています。

知的労働を遠隔で行う「テレワーク」に対して、
肉体的な作業までをも含むこうした概念は、
「テレイグジスタンス」などと呼ばれるそうです。

業界のコアな情報系ニュースサイトを調べてみると、
ロボティクス事業を手掛けるある企業の、
こんなうれしい悲鳴が掲載されています。

『コロナ禍で、問い合わせ件数が5倍になった』

…いやはや、5倍とはこれまたすごいですね。
ちょっとハナシを盛っているのでは? とも思ってしまいますが、
きちんとしたプレス向け説明会での発言のようですので、
まんざら嘘ではないのでしょう。

同社によれば、ここ最近の急速なロボット需要拡大には、
主に下記の四つの理由が挙げられる、とのこと。

① コロナ禍で非対面・非接触業務ニーズが増加
② 労働賃金上昇への対応策
③ 有効求人倍率が増加するなかでの人手不足解消策
(10年後、労働需要7,000万人に対し、供給は6,400万人に減少)
④ 有能な人材の有効活用
(アバターなら優秀な社員一人が複数の場所で対応できる)

②については実感が湧かないという方もおられるかと思いますが、
その他はおおむね納得、という所でしょうか。

とくに、10年後に600万人分の労働力が不足する(!)という試算や、
有能な人材を地理的・物理的制約から解放し、
複数の場所で業務を行えるようにする、
といった発想には、大きな説得力を感じます。

すでに一部コンビニ大手では、
かなり「人に近い」汎用型マニピュレータを持つロボットで、
在庫管理や陳列業務などを行う試験も実施されているとか。
その構想というのがまたすごいのですが、
「東京など高時給地域の店舗運営を、
低時給の地域のパート社員による遠隔業務で賄おう」というもの。

なんと同じ仕事でも、時給の高い地域と低い地域とでは、
年間で数百万円もの差が出る(24時間365日営業のコンビニの場合)というんですね。
これをさらに、賃金の非常に安い海外からの遠隔操作で行ったら…
などと悪いことを考えると、想像が止まらなくなります。

もちろん今はまだ、人が操作を行わなければなりませんが、
自律的に仕事を組み立て、独立して作業を行うようになる日も、
そんなに遠くはないのでは…などと思ってしまいます。

当社もまた、労働集約的な面を多分にもつ業態ゆえ、
現在お問合わせを頂いているロボットメーカー様も、
「当社の」顧客としてだけでなく、
「当社が」その顧客になる可能性もあるのでは…などと思い、
上のアバターロボットの価格を調べてみましたら、なんと…

どこを調べても『非公開』でした…。
…たぶん、お高いんでしょうね(笑)。

なんとなく、まだまだ中小製造業には、
遠い遠い世界のお話のような気がした啓蟄の候、
でございました…。