包装のコトども

2023.02.13

日本人と、パレットと、2024問題。

働き方改革関連法案に基づき、
トラックドライバーの時間外労働の上限が変更になる、
いわゆる「物流2024年問題」と呼ばれるイシュー。

コロナ禍を受けた個別配送ニーズの急速な高まりもあって、
ただでさえ深刻な人手不足が続く物流業界に、
いま、重くのしかかる課題です。

物流や包装に携わる皆さまはすでにご存知かもしれませんが、
この問題を解く最大のカギを握るキーワードは、
DXでもIoTでも自動運転トラックでもなく、
じつは皆さんおなじみの「パレット」だと言われています。

業務ではもっともなじみ深い資材のひとつである、物流用パレット。
けれど日本におけるパレット運用のスタイルが、
欧米と比べると大きく異なることを、ご存知でしょうか。

大きな違いのひとつは「標準化率」。
つまり、ルールにのっとった同サイズのパレットが使われている比率です。
ヨーロッパでは90%、オーストラリアでは実に99%のパレットが、
共通の規格で製造・運用されている一方、
日本の標準的ないわゆる「イチイチパレット(T11型)」の普及率は、
なんと全体の34%に過ぎないとされています。

こういった違いを産む理由として挙げられるのが、
日本人は「部分最適(あるいは個別最適)」には非常に優れた民族だが、
「全体最適」を考えるのが苦手である、というもの。

料理にせよ、機械技術にせよ、日本人は海外から取り入れたものを、
自分たちの暮らしや環境に合わせて工夫し、洗練してゆきます。
条件や相手に合わせ、多種多様な文化を生み出すのはお手の物。
パレットについても然りで、自社製品のサイズや形状に合わせ、
専用のパレットを用いて、自社物流を最適化しようとするのが日本人、なのです。
しかし残念ながらこれは、物流全体としてみれば、必ずしも最適解ではありません。

独自の規格で設計されたパレットは、
自社の物流網の中だけで運用されるならば確かに都合が良いのですが、
他の規格の物流網に乗せるためには、
必然的に「手荷役による積み替え」が必要になってしまいます。

加えて日本では、欧州やオーストラリアのように、
パレットを社会全体の「共有物」として扱う概念が浸透していない為、
パレットを社外物流に出すと4~5割は紛失するという現実があります。
結果として、他社の物流に乗せる際にもやはり紛失を恐れて、
「手荷役による積み替え」が必要となってしまうわけですね。

ちなみに下のグラフは、
パレットを使用する場合とそうでない場合との、
荷役作業に要する時間を分析したもの。
パレットが果たしている役割は、こんなにも大きいものだったんですね…

物流、わけてもそのコストや業務生産性の管理において、
大変大きな役割を占めるこの、「パレットまわり」の問題。
弊社でも、この「パレタイズ(パレットへの積み付け効率などを検討すること)」
に関するご相談を承る事例は大変多く、
段ボールの寸法設計からパレットへの積載効率計算に至るまで、
下記のように専用のソフトを用いてご提案するケースもございます。

先の見通せない世界情勢の中、
物流費、資材コストの高騰に立ち向かうお客様にとって、
パレチゼーションや輸送の最適化は喫緊の課題。

ますます不確実性の増すロジスティクスの見直し、課題の抽出をお考えなら、
まずは我々、生出の営業担当にご相談下さい。